押井学は『アヴァロン』で私家版・ウィザードリィを思う存分、表現して自分はよかったといっているようでもある。

 元々、押井学はロボットアニメとガンアクションとミリタリーが好きでどちらかというと『ウィザードリィ』のような硬派なファンタジーはそれほど好きではないらしい。

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 『アヴァロン』の次なる『甲殻機動隊』は『ウィザードリィ』的な要素は省かれているが、それでも『アヴァロン』的な彼の世界観は思う存分、表現されているのではないか?
 
 甲殻機動隊は士郎正宗のロボットアニメでもちろん『ウィザードリィ』とは無関係なのだが、押井学にいわせれば士郎正宗の作品の中に『ウィザードリィ』的な何かを見出して表現する魅力もあるような気がするのだが。

 『攻殻機動隊』でメジャー化した感があるが、デビュー当時から人気があり、『BSマンガ夜話』によれば、出版社と言えば東京に本社をおく所が牛耳っていた1980年代、地方の出版社がマンガの単行本(単行本をまず発行すると言うスタイルはあり得なかった)を出版することはあり得ないことだったにもかかわらず、大阪に本拠を置く青心社発行の『アップルシード』がマニアックかつカルト的な人気に支えられ、全国に流通すると言う快挙を成し遂げたという。

 カッティングやタッチなどは田中久仁彦、山下いくとなど多くの作家に影響を与えた。

 商業誌での連載終了以降では漫画作品をほとんど発表せず、イラストレーターとしての活動が目に付く。傾向としてはMacintoshによるデジタルペイントや3DCGを構成要素に用い、女性キャラクターやメカニックを描くことが多い。

  『攻殻機動隊』のカラーページ以来、成人向けの題材を取り上げることも増えたが、基本的に男性が登場しないレズ行為が多い。

 男性を介在させないのは「読者も見たいと思わないだろう」というのが理由。2009年以降、過去に『ヤングマガジンアッパーズ』(講談社)などで連載していたアダルト描写を含む作品群を収めた画集シリーズ『PIECES』をリリース中。本人は未完結の漫画作品もいつかは完成させたいと話している。

 士郎正宗

 押井学にいわせれば士郎正宗が大阪のマイナー出版社の青心社から漫画を出して『ウィザードリィ』のようにカルト的に分かる人に分かるという継続的な人気があることも『甲殻機動隊』を映画のテーマに選んだのもあるだろう。

 加えて士郎正宗がエロチックな『ウィザードリィ』のサッキュバスとか女性モンスターのような魅力を主軸にしている漫画家であることを知っていて多いに押井学版『甲殻機動隊』を表現していったのか?と思ってしまったが。

 『ウィザードリィ』の要素が乏しい『甲殻機動隊』でも押井学的なバイアスというかフィルターの魅力もマニアは感じていて『ウィザードリィ』な何か?を押井学の作品から充分に見出す可能性は大きいのではないか?

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 自分は押井学のSFロボットアニメには醒めてもいたが、押井学の作品に『ウィザードリィ』は切ってもきれない関係にあるとなれば『甲殻機動隊』にもWiz的な楽しみの要素もありそうな気がする。

 『ウィザードリィ』で暗めでエロチックだが印象に残るロボットアニメとなれば『甲殻機動隊』は一度、理解できないなりに目を通しても悪くない作品ではないか?と思ってもしまう。